どうも、SMTOYORUのヨルです。
「自分軸で生きる」という言葉を、最近よく見かけるようになりました。なんとなく良いことのように思えても、実際にはどういう状態を指すのか、はっきりとわからない人も多いのではないでしょうか。
自分のことを理解しているつもりでも、まわりに合わせたり、期待される“いい人”を無意識に演じてしまうことはよくあります。
その結果、「本当は何がしたいのか」「何が好きなのか」が曖昧になってしまうという声も少なくありません。
そんな中で、自分軸というテーマを強く意識するきっかけになっているのが、性、特にSMのような関係性を通じた気づきです。
一見すると極端で、特殊な世界に見えるかもしれませんが、実際にその世界に深く関わる人たちは、驚くほど“自分を持っている”ことが多く見られます。
自分の感情、欲求、そして限界をしっかり理解し、それを言葉にして相手に伝えることができる。そうした姿勢があって初めて、安全で信頼できる関係性が成り立つからです。
M(サブミッシブ)として委ねる側は、ただ従うのではなく、「どこまで許せるか」「何が嫌か」を自分の意思で決めています。S(ドミナント)として導く側も、相手の状態を読み取りながら、自らの責任で関係性を築いています。SMは“支配”や“従属”という印象を持たれがちですが、実際には「自分軸があるからこそ成り立つ関係性」だという見方もできます。
こうした関係を通じて、性の場面だけでなく、日常においても「自分の快・不快」「好き・嫌い」に正直であることの大切さに気づく人が増えています。
- 自分軸とは何か
- どうすれば育てていけるのか
- 性や人間関係、生き方にどんな影響を与えるのか
について、わかりやすく解説していきます。
もし今、
「自分が何を大切にしたいのかわからない」
「人に合わせすぎて疲れている」
そう感じているなら、自分軸という視点が、これからの選択に役立つかもしれません。
自分軸で生きるとは?──誰かの期待じゃなく「私で在る」選択
「自分軸で生きる」という言葉を聞いて、難しそうとか、特別な人だけの考え方だと思う人もいるかもしれません。でも実は、すごくシンプルなことです。
自分軸で生きるというのは、「誰かにどう思われるか」よりも、「私はどう感じるか」「どうしたいか」を大切にするということです。人の意見を参考にすることはあっても、最終的な判断を“自分の感覚”で決めていく。それが、自分軸のある生き方です。
まわりに合わせるのをやめるというより、自分にちゃんと目を向けること。それが「私で在る」選択なのです。
自分軸=「何を選ぶか」を自分で決められる人
毎日たくさんの選択をしている中で、「何を基準に選んでいるか?」を意識したことはありますか?
朝着る服、返すLINE、付き合う人、断ること。そうした小さな選択ひとつひとつに、自分の気持ちが反映されているかどうか。それが“自分軸があるか”のサインになります。
自分軸がある人には、こんな特徴があります。
- 「やりたい」「やりたくない」がはっきりしている
- 選ぶ前に、自分の気持ちを確認している
- 断るときに、申し訳なさより「自分を大切にしたい」気持ちを優先できる
- 「あの人がどう言うか」より「自分はどう思うか」で決められる
では、自分軸と他人軸の違いを表にまとめてみます。
比較項目 | 自分軸の人 | 他人軸の人 |
---|---|---|
判断基準 | 自分の気持ち・価値観 | 他人の意見・期待 |
選択の流れ | 自分→人に伝える | 他人→それに合わせる |
NOを言うこと | 自然にできる | 我慢して言えない |
自己肯定感 | 自分で満たせる | 他人に左右されやすい |
関係性 | 対等・率直 | 遠慮・合わせすぎる |
自分軸がある人は、必ずしも「わがまま」な人ではありません。むしろ、相手の気持ちを尊重しつつも、自分の気持ちを無視しない人です。
他人軸で生きる苦しさとは(迎合・我慢・自己否定)
「人にどう思われるか」が最優先になってしまうと、自分の本音がどんどんわかりづらくなります。気づけば、選択のたびに他人の顔色をうかがっていたり、「これで正しいかな?」と自信がなくなったりします。
他人軸で生きていると、こんな状態になりやすくなります。
- 断れなくて、あとでモヤモヤする
- やりたくないのに、つい引き受けてしまう
- 自分の感情より、まわりの空気を読んでしまう
- 人の反応に振り回されて、疲れる
- 誰かに褒められないと「自分には価値がない」と感じてしまう
最初は「その方がうまくいく」と思っていても、続けるほどに苦しくなっていきます。自分の感覚を無視し続けると、自信も、自己肯定感も少しずつ失われてしまいます。
「生き方」としての“主導権”を取り戻すということ
自分軸を持つというのは、ただ強くなることではありません。自分の心の声に気づいて、それをちゃんと扱ってあげることです。
「私はどうしたい?」と問いかけるだけでも、自分の中に選ぶ力があることに気づけます。
今日からできる、自分軸の育て方のヒントをいくつか紹介します。
- 決める前に、自分の気持ちをひと呼吸おいて確認する
- 嫌なことを断る練習を、小さな場面から始める
- 「なんとなくイヤだった」を大切にする
- YESもNOも、どちらも言える自分を目指す
- 「正しさ」より「心地よさ」で選んでみる
大事なのは、「これは私が選んだ」という感覚を、自分の中に増やしていくことです。誰かに決められた道ではなく、「私はこう在りたい」と言える日々が、自分軸のある生き方につながっていきます。
実は「性」が教えてくれた──自分を押し殺してきた
「自分らしく生きたい」と思っても、その“自分らしさ”が何なのか分からないと感じる人は多くいます。そのヒントは、意外と“性”という領域の中に隠れていることがあります。
性にまつわる感覚や欲求は、普段あまり言葉にしないぶん、抑え込まれていた本音が表れやすい部分です。そこに向き合うことで、自分を知るきっかけになる場合があります。
「本当は…」と感じる性的欲求や好み
性的な好みや願望には、人それぞれの個性が表れます。それが自覚できていなかったり、無意識に否定してしまっていたりするケースも少なくありません。
たとえば以下のようなことがあります。
- 優しくされるよりも、強くリードされたいと感じる
- 支配的な役割に惹かれることがある
- 人と同じような恋愛やセックスに興味を持てない
- フェチやSM的な要素に興味があるが、自分でも説明がつかない
こうした感覚は、他人と比べる必要もなく、変だと否定する必要もありません。むしろ、「なぜそう感じるか」よりも「そう感じている自分がいる」ということを認めることが大切です。
自分の欲求や感覚に正直になることで、本当の自分を理解する土台がつくられていきます。
誰にも言えなかった違和感や秘密の嗜好
性に関することは、他人と比較したり、言葉にして共有することが難しいテーマです。そのため、違和感を抱いても「こんなこと言えない」と心の中に押し込めてしまう人も多いです。
よくある傾向には次のようなものがあります。
- 友達と話す恋愛や性の話にまったく共感できない
- 「普通」とされる関係性に違和感を感じる
- 興味のあるプレイやシチュエーションを話せずに一人で抱えている
性に関する違和感や嗜好は、“自分を知るためのサイン”でもあります。無理に誰かと共有する必要はありませんが、自分の中で「私はこう感じている」と整理することが、自分軸の形成につながっていきます。
以下は、ありがちな状態と、そこに対する考え方の変換例です。
状態 | よくある反応 | 自分軸的な捉え方 |
---|---|---|
周囲と違う性の感覚 | 「自分だけおかしいのでは」 | 「違ってもいい。私はこう感じている」 |
話せない性癖や嗜好 | 「こんな自分を知られたくない」 | 「理解されなくても、自分で受け止める」 |
無理に合わせてしまう | 「これが普通だから仕方ない」 | 「私はどうありたいかを大切にする」 |
「周囲と同じでないこと」=「間違い」ではありません。そのズレこそが、自分らしさのヒントになることもあります。
快楽を“悪いこと”と感じている風習
日本では、性や快楽に対して“隠すもの”という意識が根強く残っています。気持ちいいと感じること、性に興味を持つことを「恥ずかしい」「軽い」と否定するような空気があるのも事実です。
このような風潮が続くと、次のような思い込みが生まれやすくなります。
- 快楽を求めるのは下品だと思われる
- 自分の性欲に対して罪悪感を抱いてしまう
- 「感じる自分」を責めてしまう
しかし、快楽を感じることは人として自然な感覚であり、悪いことではありません。むしろ、自分の「快」「不快」に気づく力こそが、自分軸を育てる鍵になります。
以下は、快楽に対する見方の違いを整理した表です。
項目 | 他人軸の見方 | 自分軸の見方 |
---|---|---|
快感 | 抑えるべき、恥ずかしい | 自然な感覚として受け止める |
欲求 | 否定・無視する | 向き合い、選べるものと考える |
好き・嫌い | 他人の基準に合わせる | 自分の基準で判断する |
「快楽を受け入れる」ということは、ただ性にオープンになるという話ではありません。それは、自分の感覚に素直になり、「私は何を心地よいと感じるのか」を大事にするということです。
その感覚は、性だけでなく、日常の人間関係や進路、選択にも影響していきます。性をきっかけに自分の感覚に気づけると、生き方そのものにも変化が現れてくるのです。
このように性を通して「自分の本音や感覚」に気づくことは、自分軸を取り戻す上でとても大きなきっかけになります。
次は、自分の「快・不快」をどう感じていくか、性をきっかけにどんな変化が生まれるかをさらに深めていきます。
快・不快を感じる習慣が、“自分軸”を育てる
自分軸で生きるために必要なことのひとつが、「快」と「不快」をきちんと感じることです。何が心地よくて、何が苦手なのか。自分の感覚に気づけるようになると、自然と自分の選び方も変わってきます。
性や人間関係の中で、こうした感覚に向き合う場面は多くあります。特にプレイや親密な関係性の中では、自分の感情や欲求が強く表れるため、気づきやすいタイミングでもあります。
自分の「快・不快」に正直になることは、自分軸の土台を育てていく大切なステップです。
NOが言えるようになったプレイでの気づき
たとえば、性的な場面やプレイの中で「NO」を言うことは、簡単なようでとても難しいものです。相手をがっかりさせたくない、雰囲気を壊したくない、嫌われたくない。そんな気持ちが先に出てしまい、自分の感覚を後回しにしてしまうことがあります。
でも、勇気を出して「それはちょっと苦手」「今日はやめておきたい」と伝えられたとき、多くの人が次のような実感を得ています。
- ちゃんと伝えても、相手は受け止めてくれた
- 言ったことで、より信頼が深まった
- 自分の感覚を尊重しても大丈夫だとわかった
このような体験は、「自分の意思を持っていい」という感覚を強めてくれます。
自分軸を持つとは、強くなることではなく、自分の感覚を大切にできるようになることです。
「これが好き」と言っていい安心感
性や人間関係の中で、「これが好き」と言うのも簡単ではありません。好みや欲求を伝えることに、恥ずかしさや遠慮を感じる人は多いです。
- 変だと思われたらどうしよう
- 受け入れてもらえなかったら傷つく
- 言わないほうがラクかもしれない
そう感じるのは自然なことですが、逆に「好きなことを伝えていい」と思えるようになると、大きな安心感が生まれます。
たとえば、
- 自分の気持ちを伝えるのがこわくなくなる
- 相手との関係がより対等になる
- プレイや関係性がより心地よいものになる
「好き」を言えるようになると、それだけで自分の世界の主導権を少しずつ取り戻せます。
小さな「好き」をひとつずつ伝えていくことが、自分軸の育成につながります。
感情を言葉にすることが、日常にも波及した
性の場面だけでなく、「自分の感情を言葉にする」という習慣は、日常の中でも自分軸を育てる力になります。
たとえば、
- うれしい
- 悲しい
- イライラした
- なんとなく違和感がある
こうした感情を自分でキャッチして言葉にできるようになると、他人のペースに流されにくくなります。
以下のような変化が見られることもあります。
行動の前 | 行動の変化 |
---|---|
嫌だけど言えずに我慢する | 「それはちょっと苦手」と伝えられるようになる |
何となく付き合って疲れる | 自分の心地よさを優先して選ぶようになる |
無意識に合わせていた | 「今、自分はどうしたい?」と考えるようになる |
感情を言葉にする力は、「自分を感じ取る力」です。この力が高まっていくと、日常のさまざまな場面でも、自分の意思で選ぶことができるようになっていきます。
快・不快を感じること、そしてそれを言葉にして伝えること。その積み重ねが、「他人に流されないあなた」をつくっていくのです。
SMは自分を知れる性癖──支配と従属の先にあるもの
SMという言葉には、刺激的な印象や特殊なイメージがつきやすいかもしれません。けれど、実際にその関係性の中に身を置いてみると、そこには単なる性癖以上の深さがあります。
SMは、自分の「快・不快」を明確に感じやすい関係性です。そして、相手との境界や感情の揺れを繊細に感じながら、自分がどう在りたいのかが浮き彫りになっていきます。
「なぜそれが好きなのか」
「どこまでなら心地よいのか」
「どんな関係性に満たされるのか」
そうした問いを通して、自分を深く知っていくきっかけになるのが、SMという世界です。
サブとしての気づき:「支配されて支配するM」
M(サブミッシブ)は、相手に委ねたり、従ったりする側の立場です。一見すると「ただ従う人」に見えるかもしれませんが、実際にはとても主体的な選択をしている場合が多くあります。
よくある誤解と実際の気づきを比較してみましょう。
イメージ | 実際の姿 |
---|---|
相手の言うことを何でも受け入れる | 自分で境界線を持ち「ここまではOK」と選んでいる |
弱い、流されやすい | 相手を見極め、関係をコントロールする力がある |
自分の意思がない | 「委ねること」を自分の意思で選んでいる |
Mとして関わることで、自分の「境界」を知る人もいます。どこまでは心地よくて、どこからが苦しいのか。
その感覚に向き合う中で、「NOを言う強さ」や「選び直す力」が育っていきます。
つまり、Mであることは「受け身」ではなく、自分の感覚と選択を信じることでもあるのです。
ドミとしての気づき:「導く=コントロールではない」
S(ドミナント)は、相手を導く側の立場です。こちらも「支配する人」「命令する側」という強い印象を持たれがちですが、実際には相手の状態に細やかに気を配り、責任を持って関係性をリードしていくポジションです。
ドミとして関わる中で、次のような気づきを得る人もいます。
- 力で動かすのではなく、相手を信頼して導くことが大切
- 命令ではなく、共に関係をつくる意識が必要
- 自分の感情や欲求にも、丁寧に向き合わなければバランスが崩れる
ドミとして振る舞うには、自分の軸がしっかりしていないと続けられません。
相手の感情だけでなく、自分の感覚・判断・責任にも正直である必要があります。
ここで培われる「リーダーシップ」や「相手を見る目」は、性の場面を超えて、日常の人間関係にも活かされていきます。
性癖は自分軸でいるための気づき
性癖とは、本来“誰かと比べるもの”でも“正すもの”でもありません。
むしろ、自分の感情や快楽のパターンから、「私はこう感じる人なんだ」と知るためのヒントになります。
SMのように強い刺激や関係性のやりとりがある世界では、次のような気づきが生まれやすくなります。
- 本音を我慢していたことに気づいた
- 「してほしいこと」を素直に言う難しさを実感した
- 他人の目を気にしすぎていたことに気づいた
こうした気づきは、すべて「自分軸」を育てる材料になります。
性癖を通じて自分の輪郭が見えてくると、ただ“快楽を求める”のではなく、“自分で選んで向き合う”という意識が育ちます。それは、性に限らず、人生全体において「自分で選ぶことができる私」を育てていくことにもつながるのです。
「性の自由」が教えてくれた、本当の自分軸
自分軸という言葉を聞くと、「生き方」や「価値観」の話だと思うかもしれません。けれど、それは頭で考えることだけではなく、実はとても感覚的なものです。
性と向き合う中で、自分の“快・不快”を正直に感じられるようになると、自然と日常の選択にも変化が表れます。
快楽をどう扱うか。それは、感情をどう扱うかとつながっています。
自分をどう扱うか。それは、自分の人生をどう選ぶかに直結しています。
性を通じて学んだ感覚が、いつの間にか生き方そのものを変えていく。そのプロセスが、自分軸の本当の意味を教えてくれます。
快楽を否定しない=感情を尊重
多くの人が、「気持ちいい」「嬉しい」「ときめく」といった感覚をどこかで抑えてしまいがちです。
- そう感じる自分が軽く見られたらどうしよう
- こんなこと思っちゃいけないかもしれない
- 人に言ったら変だと思われそう
でも、快楽というのは身体と心が教えてくれるサインです。
それを否定せずに受け入れることは、自分の感情を大切にする第一歩になります。
快楽に正直でいることは、「私はこう感じる」という感覚の確認につながります。
以下は、感情に向き合う態度の違いをまとめたものです。
感覚への向き合い方 | 他人軸の状態 | 自分軸の状態 |
---|---|---|
快楽を感じたとき | 恥ずかしさ、否定、我慢 | 自然な反応として受け入れる |
感情の扱い方 | 理屈や周囲に合わせて処理する | 自分の内側の声として受け取る |
好き・嫌い | 他人に合わせて選ぶ | 自分の感覚で選ぶ |
感情を否定しないことは、自分を否定しないことです。「どう感じるか」を尊重できる人は、「どう生きるか」も自分で選べるようになります。
自分を大切にする=人生全体を“あなたの意思”で選ぶということ
性の場面で、自分の「好き」「嫌い」「快」「不快」に正直になれた人ほど、日常生活でも「私はどうしたいか?」という問いを持てるようになります。
たとえば次のような変化があります。
- 付き合う人や距離のとり方が変わってくる
- 本当は嫌だったことを、やめてみるようになる
- 「自分のために選ぶ」感覚が日常に根づいていく
それは、“他人の期待に応える”という生き方から、“自分の気持ちに応える”という生き方へのシフトです。
自分を大切にするというのは、自分を甘やかすことではなく、自分にちゃんと責任を持つということでもあります。
- 好きなものを選ぶ
- 嫌なものをやめる
- 疲れているときは休む
- 傷ついたときは距離をとる
そうした選択を、自分の意思で重ねていくことが、自分の人生を生きることにつながります。
性だけじゃない。生き方も“委ねる”ではなく“決める”へ
SMや性的な関係の中では、「委ねる」「従う」といった表現が使われることがあります。けれど、それは決して“支配される”ということではありません。
本当の意味での「委ねる」は、自分の意思で「委ねることを選ぶ」ことです。つまり、そこには常に「選んでいる自分」がいます。
性の中でその感覚を身につけた人は、日常でも次のような変化を実感しやすくなります。
- 空気に流されていた場面で、「自分の選択」を意識するようになる
- 人に決められるのではなく、自分で判断する場面が増える
- 「どうしたい?」という問いが、自然に自分の中に根づいてくる
誰かに委ねるのではなく、自分で決める。性から始まったその感覚は、仕事、友人関係、進路、ライフスタイルなど、あらゆる場面で生きてきます。
生き方は、誰かに合わせるものではなく、自分で形づくっていくもの。そう思えたとき、自分軸は性の枠を越えて、人生全体に広がっていくのです。
自分軸が育つと人生はこう変わる
「自分軸を持つ」と聞くと、特別な人ができることのように感じるかもしれません。でも実際は、自分の感情や感覚を少しずつ大切にしながら、「私はこうしたい」と思える選択を増やしていくことです。
その積み重ねによって、気づけば生き方そのものが変わっていくことがあります。ここでは、自分軸が育ったことで起きやすい4つの変化を紹介します。
人間関係での我慢が減った
他人に合わせすぎて疲れていた、という人がよく口にする変化のひとつが、「人間関係がラクになった」という感覚です。
- 誘われても無理して行かなくなった
- 「嫌だな」と思ったときに自然に距離をとれるようになった
- 相手の反応にビクビクしすぎなくなった
- 「察してほしい」が減って、素直に伝えるようになった
相手を優先しすぎていた時期は、自分を押し殺すような形で関係を保っていたことに気づく人も多いです。
人間関係の満足度は、「どれだけ我慢しなかったか」に比例するという考え方もあります。
NOと言えない性格が変わってきた
「NOと言うのが苦手」という人も、自分軸が育ってくると、自然と断る力が身についていきます。
以下は、NOが言えない状態から、言えるようになるまでの段階です。
段階 | 状態の変化 |
---|---|
① 無理してでも引き受ける | 相手優先、疲れがたまる |
② 断りたいと思っている | でも言えずに我慢する |
③ 小さな場面でNOを言う練習 | コンビニのレジ、SNSの返信など |
④ 「これは無理」と自分で判断できる | 境界線ができる |
⑤ 自然にNOを言えるようになる | 相手との関係も安定する |
NOを言えるようになると、実は人間関係もより安定していきます。なぜなら「本音で付き合える関係」が自然と残っていくからです。
働き方も選び直せた
自分の「好き」「嫌い」に敏感になると、働き方や将来の進路にも影響が出ることがあります。
- なんとなく選んだアルバイトや職場が合っていなかったと気づいた
- 「安定」より「心地よさ」を基準に考えるようになった
- 得意ではないけれど、苦手でもなかったことを見直した
- やりたくない仕事を断る選択肢があると知った
「今の働き方が合っていない」と気づけるのも、自分の感覚を信じられるようになったからこそです。
仕事やお金のことは現実的なテーマですが、それでも「自分のために選び直す」という感覚があるかないかで、満足度は大きく変わっていきます。
セックスが気持ちよすぎる
自分軸が育つと、セックスの質は根本的に変わります。
ただ気持ちいいかどうかではなく、「どんな相手と」「どんな関係で」「どんなことをされたいか」を自分の中で選べるようになるからです。
とくに性癖に素直になった人ほど、「合う相手」と「合わない相手」の感覚の違いが、はっきりとわかるようになります。
- 性癖を共有できない相手とは、そもそも身体が反応しなくなる
- 挿入そのものに意味を感じなくなってくる
- 刺激より“精神的なつながり”で絶頂に向かえるようになる
- 自分が感じるために必要なスイッチを把握できるようになる
「とりあえずセックス」や「気まずくて断れない挿入」は、もう選ばなくなります。
むしろ、性癖や感覚をきちんと共有できる相手と深くつながったとき、驚くほど自然に、そして深く絶頂できるようになります。
たとえば、
- プレイの始まりは、言葉のやりとりや視線だけで濡れてくる
- 触れ方が合っていると、軽い愛撫だけで震える
- SMやフェチ的な要素があるときの方が、はるかに身体が反応する
- 相手の主導で「何も考えなくていい」と思えた瞬間、奥から快感があふれる
一方で、価値観が合わない相手と無理に関係をもとうとすると、まったく濡れなくなったり、立たなくなったりすることもあります。
これは身体の問題ではなく、心が「ここじゃない」と教えてくれているサインです。
快楽とは、相手の“技術”ではなく、自分が自分を知っていて、それを委ねられる相手を選べたときに初めて成立するものだと気づくようになります。
だからこそ、性の時間はただの行為ではなくなります。
- 自分を受け止めてもらえたという実感
- 言葉より深くつながっているという感覚
- 自分の内側が自然と開いていく快楽
そのすべてが揃ったとき、セックスはただの身体的なことではなく、「自分で生きている」という感覚そのものになるのです。
よくあるQ&A|性と自分軸に関するリアルな悩み
性に関すること、自分軸に関することは、なかなか人に相談しづらいテーマです。ここでは、よくあるリアルな悩みをQ&A形式で取り上げながら、少しずつ自分との向き合い方が見えてくるようにまとめました。
性癖に罪悪感がある。自分軸って何?
Q. 自分の性癖が“ちょっと普通じゃない”と思っていて、ずっと罪悪感があります。自分軸で生きるって、こういうのも含めて認めるってことですか?
A. は自分軸とは「自分がどう感じているか」を否定せずに受け止めることです。性癖も、あなたの感覚や感情の一部。それ自体に“正解”や“普通”はありません。
誰かと共有するかどうかは別として、「私はこういう傾向がある」と認めることが、自分軸の出発点になります。
罪悪感は、「周囲の基準」と「自分の感覚」にギャップがあるときに生まれます。そのギャップに気づけたこと自体が、すでに“自分を見ようとしている証拠”です。
パートナーに本音が言えない。どうしたら?
Q. 恋人やセフレに、したいこと・されたくないことがうまく言えません。言ったら引かれるんじゃないかと心配です。
A. 急にすべてを伝える必要はありませんが、「自分の感覚を言葉にする練習」は少しずつ始めていくのがおすすめです。
たとえば:
- プレイの前に「今日はこういう気分かも」と伝えてみる
- 「こういうの、実は好きかも」と“かも”で柔らかく話す
- 「前の〇〇、すごく気持ちよかった」とポジティブな振り返りから入る
本音は、急に言うより「少しずつ育てていくもの」です。怖がりながらでも出した言葉をちゃんと受け取ってくれる相手は、きっとあなたを大切にしてくれる人です。
SMって自分軸と矛盾しない?
Q. SMって「支配する・される」関係ですよね?それって“他人に委ねる”ことだから、自分軸とは真逆な気がします。
A. 一見すると矛盾しているように見えるかもしれませんが、実際にはまったく逆です。
SMの関係性は、「どこまでを許すか」「何をされたいか」「誰に委ねるか」をすべて“自分の意思”で選んでいるからこそ成立します。むしろ、自分軸がないと安全で信頼できるSMは成り立ちません。
- 受け身=流される、ではなく「委ねることを選ぶ」
- 主導権を握る側も「相手とどう関わるか」を選び続けている
SMは、自己理解と自己選択の感覚を深める場でもあります。
性的なことで悩んでいるのに、まわりに相談できない
Q. 性のことでモヤモヤしていても、友達や家族には絶対言えません。ひとりで抱えているのがつらいです。
A. 性に関する悩みはとてもプライベートなので、「誰にも言えない」と感じるのは自然なことです。
まずは、自分の感覚や気持ちをノートやスマホのメモに書き出すことから始めてみてください。言葉にすることで、感情が整理されていきます。
また、「共感できるコラムを読む」「似た価値観を持つ人の発信を見る」だけでも、自分だけじゃないと気づけて安心できることがあります。無理に誰かに話さなくても、自分との対話を始めるだけで、心はだいぶ軽くなります。
よければ相談所ありますので、相談ください。
自分軸で生きたいけど、周りに流されてしまう
Q. 自分軸が大事ってわかってるのに、結局まわりの意見に合わせてしまいます。意思が弱いってことですか?
A.それは“意思が弱い”のではなく、「自分の感覚を言語化する習慣がまだ育っていない」だけです。
たとえば次のような小さなステップが有効です。
- 自分がYES/NOを感じた場面を1日1つメモする
- 「今どう感じてる?」と自分に問いかける習慣をつくる
- まわりに合わせた後、あとから「自分は本当はどうしたかったか」を振り返る
感覚に気づく力も、選ぶ力も、練習と経験でちゃんと育ちます。自分軸は“強さ”ではなく“慣れ”です。
ゆっくり、自分に慣れていくプロセスを大切にしてください。
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まとめ|“快”を大切にする。それがあなたの軸になる
自分の「快」を感じとり、選べること。
それは、誰かに合わせて生きるのではなく、自分の感覚を信じて進むということです。
性の中で芽生えた「これが好き」「これはイヤ」という気づきは、人生のあらゆる選択にもつながっていきます。
“私のままで気持ちいい”と感じられること。
それは、他人の価値観ではなく、あなた自身の軸で生きている証です。
最後に
「心地よさは、あなたの本音がくれる答えです。」